SerDes(Serializer/Deserializer)は、高速データ伝送を効率的に行うための技術で、複数の並列データ(パラレル通信)を1本のシリアル通信に変換(シリアライズ)し、受信側で元の並列データに復元(デシリアライズ)する仕組みです。これにより、配線の簡素化やEMIの低減が可能となり、車載ネットワークにおいて重要な役割を果たしています。

SerDesの特徴は?
SerDes(Serializer/Deserializer)には以下のような特徴があります。
・高速・高帯域幅伝送:
SerDes技術は、数Gbpsから数十Gbpsの高速データ伝送を実現します。
これにより、高解像度カメラやディスプレイなどの大容量データをリアルタイムで伝送することが可能です。
・配線の簡素化とEMIの低減:
従来の並列伝送では複数の信号線が必要でしたが、SerDesを用いることで信号線の本数を削減でき、配線の簡素化が図れます。
また、シリアル伝送によりEMI(電磁干渉)の発生を抑制し、システム全体の信頼性向上に寄与します。
・柔軟なトポロジー対応:
SerDesは、ポイント・ツー・ポイント接続だけでなく、デイジーチェーンなどの多様なネットワークトポロジーへ対応可能なものが増えています。これにより、車載ネットワークの設計自由度が向上します。
SerDesの用途
SerDes技術は、以下のような車載アプリケーションに広く利用されています。
・ADAS(先進運転支援システム):高解像度カメラやLiDAR、レーダーなどのセンサーからのデータを高速かつ高信頼性で伝送。
・インフォテインメントシステム:ディスプレイやオーディオシステムとの高速データ通信を実現。
・ゾーンアーキテクチャ:車両内の各ゾーンに配置されたECUとの接続を効率化。
SerDesとコネクタに求められる条件
GMSLやFPD-Linkシリーズに代表されるこの技術では、最大8~16Gbpsに達する伝送速度に対応するため、次のようなコネクタ特性が必須となります。
例えば、H-MTD®コネクタ及びHFM®コネクタは、最大56Gbps(PAM4)の伝送速度に対応した差動伝送及び同軸伝送を目標に開発されました。
しかし各種通信規格要件を満たすためには、コネクタ単体の性能だけでなく、ケーブル、基板、フィルタ回路との協調設計が重要になります。
ローゼンバーガーでは、各種通信規格(GMSL、FPD-Link、Automotive Ethernetなど)に適した高性能コネクタ製品に加え、それぞれの用途に最適化された同軸/差動ケーブルの選定・提案も行っております。
製品選定や設計初期段階での技術的なご相談、評価用資料のご提供など、実務に直結する支援体制を整えておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。
ローゼンバーガー製コネクタの優位性と選ばれる理由
ローゼンバーガーは、SerDes規格を提供するチップベンダー様と開発初期段階から共同評価を実施しており、
SerDesチップメーカーのリファレンスボードにおいて公式に採用されています。
これは、ローゼンバーガーのコネクタがチップベンダーの要求する伝送品質(SI)とEMC性能を確実に満たしていることを意味し、設計段階での安心材料となっております。