インサーションロス(Insertion Loss)

インサーションロス(Insertion Loss)とは、入力した信号が伝送路(ケーブルやコネクタ、PCBパターンなど)を通過する際に生じる減衰量を示す指標です。

挿入損失I/L(Insertion Loss)とも呼ばれます。
単位はデシベル(dB)で表され、インサーションロスの値が小さいほど信号の減衰が少なく、伝送品質が良好であることを示します。

・ インサーションロスが小さい(良好な状態)

 ✅ 信号の減衰が少なく、データ伝送が安定している。
 ✅ 通信エラーが減少し、システムの信頼性が向上する。

・ インサーションロスが大きい(不良な状態)

 ❌ 信号の減衰が増え、通信距離の短縮やデータ損失の原因となる。
 ❌ 高周波領域での波形劣化やビットエラーの増加につながる。

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コネクタにおけるインサーションロス

インサーションロスは、伝送経路の電気的特性や材料の影響を受けるため、コネクタの端子構造、接触抵抗、配線パターン、ケーブル特性などによって変動します。

特に車載コネクタでは、高速通信・デジタル信号伝送のニーズが高まり、低インサーションロスが求められています。

車載Ethernet(100BASE-T1、1000BASE-T1)、LVDS(カメラ/ディスプレイ通信)などの通信規格では、適切なインサーションロスの許容値が定義されており、
コネクタ単体性能に加え、PCBのパターン設計やケーブルの特性(伝送損失や減衰率)とのマッチングが非常に重要になります。

ローゼンバーガー製コネクタのインサーションロス

 ローゼンバーガー製コネクタのインサーションロスは以下の数式で許容値を定めております。

 Insertion Loss (dB) ≦ 0.1×√f(GHz)​ 

 ・f(GHz) :周波数(GHz単位)

例) 6GHzでのコネクタのインサーションロス ≒ 0.245(dB)

監修者

1990年~車載アンテナメーカーである株式会社ヨコオに入社。衛星通信機器の電気設計及びセラミックアンテナ及びフィルターの設計に従事し、その後車載通信機器事業部の電気設計管理職となり主に車載アンテナの開発を遂行。2018年~高周波コネクタ製品のトップシェアメーカーであるローゼンバーガーの日本法人であるローゼンバーガー・オートモーティブ・ジャパン合同会社に転職し、車載通信機器の開発で培った知識を生かし、マネージャーとして各OEM及びTier1へ製品の市場導入サポートを行っています。

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